こちらはLISM2024年12月号に掲載されていた「建築家図鑑」VOL.06の記事です。掲載誌の配布期間が終わっているので、こちらにアップいたします。
建築家:西本寛史さんは、和歌山市の西ノ店に事務所を構える建築家。西本さんは「形をデザインするのではなく空気を計画する」という考えで建築を考えていくそう。今回はそんな西本さんに、お話を伺いました。
打ち解け、擦り合わせる打ち合わせ
建てようネットスタッフ(以下ス)>西本さんご自身の家づくりの特徴を教えてください。
西本寛史(以下 西)>建て主さんとの打ち合わせでは、必ずCGやパースを作ってそれを見ていただきながら進めています。平面の図面だけを見ながら言葉を重ねても、理解や共有は難しく、認識のズレが生じるもの。使う素材なども含めてお見せして、建て主さんがしっかりと空間をイメージできることが重要だと思っています。また、建てようネットで建てた「陽蔭の家」の頃から妻もこの仕事に加わってくれました。妻が打ち合わせの場にいると、女性が悩みや気になっていることをより話しやすく、さらに細かいところまで汲み取れるようになったと思います。建物だけでなくインテリアの相談も乗らせていただいて、トータルコーディネートができるようにもなっているのも特色かもしれません。
本当に必要なものを見極める力
ス>奥様に西本さんのことをお聞きすると「いらんことをしないのが良いところ」という言葉が出ましたね。
西>そうですね。なるべく建物はシンプルにしたいと思っています。費用を抑えることも大切なことなので、不必要なデザインはしません。建物に自然素材である「木」「鉄」「土」を使うことが多いですが、上からを色などを重ねるような使い方はせず、その素材の魅力を生かするようにしています。また、本当に建て主さんが求めていることをかたちにして見せていくための「ポイントを押さえる」のは得意なように思います。
ス>「いらんことをしない」というのは、「本当に必要なものを見極めて提案できる」ということなんでしょうね。
数字より住む人がどう感じるか
【陽蔭の家】
ス>陽蔭の家の家づくりのお話を伺った際に、敷地や周りの環境を大切にした家づくりをされているように感じました。。
西>このお家は竹林に面していて、風が吹けば枝葉が鳴り、木陰が生まれます。それを居住空間のひとつの機能として取り入れた住宅になっています。現在、世の中の家づくりのシーンでは、家の住みやすさなどを決めたり、伝えるためにさまざまな数字が踊っています。でもその数字を私は信用していないんです。締め切った家の空調の効率の数字を上げるより、窓をよく開けた方が気持ちのいい風が通って、よっぽど「快適」だったりする。建て主さんと向き合って、周りの環境からの風の通り方、陽の入り方、ひとつひとつを考えていく、そんな家づくりをしていくので、そこに住まわれる建て主さんの「感じ方」が一番大切だと思っています。人が感じる「快適さ」は数字では測れないですよ。
蘇えらせた建物で文化を伝える取り組み
【東鍛冶屋町窓庫】
【東鍛冶屋町窓庫】
ス>現在、「東鍛冶屋町窓庫」でお子さんたちに伝統文化を伝えるイベントもされておられますよね。
西>ビルとビルの間にあった築五十年のバイク倉庫をリノベーションで蘇らせた建物で、みんなの色んな窓口になるように「窓庫」とつけました。その場所で【伝統文化の継承・発展と、子供たちの豊かな人間性を養い育てる】文化庁の事業として、小中学生を対象にいけばな教室を開催しています。「いけばな小原流専門教授者」である妻が講師をして、元気いっぱいのお子さんたちがいけばなを楽しんでいますよ。
「全然敷居が高いなんてことはないので気軽に参加してください!」と奥様。教室にご興味の方は「nha」のインスタグラム( @nh_archi )をご覧ください。
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