こちらはLISM2024年10月号に掲載されていた「建築家図鑑」VOL.04の記事です。掲載誌の配布期間が終わっているので、こちらにアップいたします。
建築家:島村健司さんは、建てようネット和歌山の中でもお客様との面談に選ばれる回数も多く、建て主に寄り添ってくれるその人柄が人気の建築家です。住宅を中心に店舗なども手がけ、自然素材を使ったこだわりの空間づくりも得意とされています。今回はそんな島村健司さんに、お話を伺いました。
グッドリスナー・通訳というキーワード
建てようネットスタッフ(以下ス)>いつも建築家の個性にスポットを当てているのですが、島村さん自身はご自身の家づくりの特徴は何だと思いますか。
島村健司(以下 島)>今回自分の仕事について振り返ってみて二つのキーワードが浮かびました。一つは「グッドリスナー」。いつもそうありたいと心がけています。建て主さんと丁寧にコミュニケーションを取り、お話をしっかり聞いていくことで、建て主さん本当に求めている暮らし方や家のかたちが見えてきます。「これを希望されているように聞こえるけど、本当にこの方に必要なことはこっちだ…」というふうに。
ス>ちなみに、この「グッドリスナー」という言葉、私はあまり聞き慣れない言葉ではあるのですが…
島> 日本語だと「聞き上手」でしょうか。一緒に家づくりをしたお客様にいただいた大切にしている言葉です。
ス> なるほど。建てようネットには様々な建築家がいますが、その中で私たちも島村さんは「聞き上手」タイプの建築家だと思っています。建て主さんの言葉を柔和な受け止め方をされる印象で、それが建て主さんたちから信頼を得ているように感じます。もう一つの心がけは?
島 >「通訳」ですね。私の仕事は通訳者だと思っているんです。ここでの「通訳」はお客様の中にある家の希望のイメージを、工事をしていく現場に伝えていくという意味です。建て主さん自身の希望は「こういう部屋がほしい」「こういうデザインを取り入れたい」という断片的なものや、イメージが漠然とあって言語化や視覚化はしにくい場合が多いです。それを私が受け取って組み立てて、理想の「家」にできるように工事をする方たちに伝えて一緒に形作っていく。言語の通訳をされる方がただ言葉を直訳するだけではないように、本当に伝えたいことを汲み取って、通じ合わせる存在でありたいんです。
ス> そしてグッドリスナーであるからこそ、通訳者での力が発揮できるのですね。
House in Nagayama リビング
House in Nagayama 庭から
House in Nagayama キッチンから
意外な一面?硬軟併せ持つ建築家
島 > 仕事で関わる方たちからは「頑固なところがある」と言われることがあります。自分では意識してるわけではないので『どこが』と具体的にはわからないのですが(笑)昔、尊敬している仕事の先輩には「君は頑固だ。だからこそ信頼できる。」と言ってもらいました。その言葉はずっと心に残っています。
ス>「頑固」という言葉は「人の意見を聞いてくれなさそう」などのマイナスイメージがありますよね。でも島村さんが言われる「頑固なところがある」は「芯が通っていて、揺らがないところがある」ということだと思います。そんな島村さんからこれから家づくりをされる方にメッセージをお願いします。
島>「家づくりをしよう」「リフォームをしよう」とした時に、設計事務所であっても、建てようネットにであっても、連絡するのは、きっとすごく勇気が要ることだと思うんです。それだけの勇気を出してくださった分のメリットがある家づくりにできるように私たちも頑張ります。全部できますよ!とは言えないですが、まずは希望を伝えていただいて、「家が完成する」というゴールに向かって一緒にできることを探していきましょう。