建てようネット和歌山で建てた家 第138号


段差を生かした距離感の作り方
独創性で育む家族のオリジナリティ
「テレビ番組の〝住人十色〟が大好きで、家を建てるなら、あえて誰もやっていないことをしたかったんです」。ご主人のその言葉通り、今回紹介する「和歌山東の家」には、誰もがアッと驚くデザインやアイデアがいっぱい。敷地内には、小さな丘があり、周りには畑やブランコ。家の外見はまるでキノコのようで、その根元を子どもたちがグルグルと、走り回ります。
手掛けたのは、建てようネット[和歌山]の中でも、常識にとらわれない自由な発想で、住まいに独自の世界観を展開する「hana class」の佐原光治さん。「子どもたちが土の近くで、楽しく元気よく走り回れる家。公園の中に建っているようなイメージです」と話します。1階はできる限りコンパクトに、リビングやダイニングなど生活空間は2階へ。「一見すると極端かもしれませんが、コンセプトを中心に考えた上での必然性。世界にたった一つの家族のための、世界にたった一つの住まいです」と。
外観もさることながら、室内も唯一無二。2階はLDKにプラス、子ども部屋にもなるフリースペースをワンフロアに。個室と呼べるものは寝室のみ。ご主人は「子どもはもちろん、僕たち夫婦も〝部屋にこもる〟ことがない家(笑)。そもそも部屋がなければ、こもることも考えませんからね」と。それぞれの距離感は、天井高を生かした段差。フリースペースに設けた大きなスキップフロアが、その役割を果たします。あえて建物に固定せず2段ベッドのように家具として設置。子どもたちの成長に合わせて、自由に組み合わせを変えます。 「うちもそうですが、姉妹ならではかもしれませんね。大きくなると子ども同士で棚やぬいぐるみを使い、互いの居場所を作ります。自主性の芽生えに、子どもたちの成長を感じます」と佐原さん。建て主さんも子どもたちの変化を実感。「べったりと寄ってくることがなくなりました。逆に何でも自分たちでやりたがるぐらい」と、奥様もビックリです。
住宅データ
構造/鉄骨造
屋根/ガルバリューム鋼板平葺き
外壁/ガルバリューム鋼板平葺き、杉板張り
建築面積/ 82㎡ (約25坪)
延床面積/ 105㎡ (約32坪)
敷地面積/ 171㎡ (約51坪)

担当建築家・工務店
設計・監理:佐原光治(hana class)
施工:巧細川組株式会社










