建てようネット[和歌山]で建てた家 第200号
「祖父が大工だったので工務店は決まっていました。展示場や見学会、ネットで建築家さんを探している時に、建てようネットを知り、大谷さんと出会うことができました」と建て主さん。ご友人が建てようネットのOBさんでもあり、人見知りだったお子さんも大谷さんと会った瞬間にニッコリ。直感的に「この人だ!」と感じたそうです。「フィーリングって本当に大事。何にも知らない素人ですから、あれもこれもと要望ばかり(笑)。だからこそ後悔なんて全くないですよ」。
「美術館かと思いましたよ(笑)」と、建て主さん自身も感心した無垢材の意匠。目に留まる吹き抜けの格子は紀伊半島の杉材。床は全面に紀州材が用いられています。大谷さんは「材木を得意とする工務店さんのご縁にも恵まれました。これだけの杉を室内全体にあしらうとなると、節一つにも気を使います。それをしっかり把握した上で、節を外し施工してくれるのは、ひとえに職人さんの腕。“裸足が気持ちいい”と建て主さんも杉材の良さを実感してくれています」と話します。
将来にわたって楽しい家づくり紀州材の匠とつながる住まいの縁
「引き渡しの時は本当に、嬉しいようで寂しいような娘を嫁に出す父の気持ちでしたよ(笑)」。そう話すのは、手掛けるすべての建物に優しさと愛情を注ぐ建築家の大谷隆紀さん。建て主さんと建築家をつなぐ「建てようネット[和歌山]」の中でも、群を抜いて木を使うことが多い紀州材の匠。紹介する「想いを超える家」も、紀伊半島の良質な杉材がふんだんに取り込まれています。
ご夫婦ともにイメージしたのは「木」と「風」。室内で心地よく過ごせる空気感を目指しました。大谷さんは「土地は大通りに面しトラックなど車の往来が多いエリアでした。車両からの目線や埃等を考え、条件を一つ一つクリアにすればおのずと間取りは決まってきます。建て主さん自身も大変勉強熱心で、時にはスケッチを描いて持ってきてくれるほど。それぞれのご要望に憧れが詰まっており、私自身もその熱意につられてイメージが膨らみました」と。奥様は寸法まで測るきっちり派、ご主人は雰囲気重視のふんわり派。共通する趣味のアウトドアをキーワードの一つに、お二人の要望をデザインしていきました。「何より素晴らしかったのは、事前に用意されていたメモ。ご夫婦の希望がたくさん書き込まれていて、メモを読んだ瞬間に間取りの半分がスッと頭に浮かびました」と大谷さん。
玄関の土間からすぐにLDKへ。廊下という概念を取り除き、必要な時には引き戸を出して空間を間仕切り。普段は広々と、和室もLDKに取り込んで子どもたちが全力で走り回ります。玄関入って正面には、小部屋が一つ。奥様はエステのお仕事をされているので、ここで親しいお友達を呼んで施術してあげることもできます。多趣味で学校の先生でもあるご主人には、調べものができる書斎とちょっとした作業場を調えました。さらに〝将来にわたって家づくりを楽しめる〟という要望を生かし、あえて未完成なフリーダム空間も準備されています。
住宅データ
家族構成/ご夫婦、お子さん2人
構造/木造在来軸組工法
屋根/ガルバリウム鋼板タテハゼ葺
外壁/防火サイディング貼塗装仕上、一部杉板張り
建築面積/ 77.37㎡ (約23.40坪)
延床面積/
1F 73.14㎡ (約22.12坪)
2F 58.66㎡ (約17.74坪)
計 131.80㎡ (約39.86坪)
敷地面積/ 168.83㎡ (約39.86坪)